字が重なっちゃう!なぜ??〜ビジョントレーナーが見抜く“見え方”の落とし穴〜

字が重なっちゃってる子、見たことありますか?

大人からしたら、不思議ですよね。

え?…えっ!!?なんで??

なんで文字が重なるの?ちゃんと見えてるの?

文字が重なっちゃってると、さすがに「字がきたない」よりも???になりますよね。

なぜそんなことが起こるのか。


「字が重なる」という現象には、視覚機能や身体機能、認知機能の多方面からの要因が関係しています。



目次

🔍「字が重なる」主な原因とその背景(ビジョントレーナー視点)

1. 【視空間認知の問題】

「どこに書くか」「どれくらいの大きさで書くか」といった空間把握が苦手な場合、文字の位置や間隔を適切に調整できず、文字が上下・左右に重なってしまいます。

  • 例)「ま」の横に「み」を続けて書くときに、距離感が取れず「ま」の最後の棒と「み」の最初の棒が重なる。
  • 背景)視空間認知能力(Visual Spatial Skills)の未発達、または左右識別の弱さなどが関与。

2. 【眼球運動の不全(サッケード・フィクセーション)】

文字を1字ずつ書き進める際に、眼球が正確に文字位置を捉えられないと、書いた直前の文字をうまく視覚的に確認できず、結果として同じ場所に文字を書いてしまうことがあります。

  • 例)ノートの左から右へ進めて書く際、書いた位置を確認しながら次の位置に視線を移せない。
  • 背景)跳躍性眼球運動(サッケード)の不安定さ、視点固定(フィクセーション)の保持力の弱さが関連。

3. 【定位(Visual Orientation)の不安定さ】

視点の「起点」が定まらない子どもは、どこから書き始めたらよいか分からなくなり、結果的に同じ位置から書き始めてしまうことがあります。

  • 例)マス目の中心を狙っているつもりが、ズレていたり、行の途中で位置がリセットされたりする。
  • 背景)定位(Visual Orientation)機能の弱さ、特に「ページの中での自分の位置」の把握が苦手。

4. 【身体感覚との協調不足(眼と手の協応不全)】

「見た位置」と「書く動き」が一致していない場合、見ている場所と手が動く場所にズレが生じ、文字が重なります。

  • 例)視線は次のマスを見ているのに、手はまだ前のマスに書こうとしている。
  • 背景)視覚-運動統合(Visual-Motor Integration)の課題、または固有感覚(身体の位置感覚)との連携不足。

5. 【注意の持続・移動の難しさ】

認知的な側面として、書いている間の注意の持続やシフトがうまくいかないと、書き進める過程で位置がズレたり、前に書いた文字に重ねてしまったりします。

  • 例)1文字目と2文字目のあいだで集中が切れ、視線が定まらないまま次の文字を書いてしまう。
  • 背景)選択的注意・持続的注意の課題、ADHD傾向の子どもなどに多い。

🎯ビジョントレーニングでの対応

  1. 視空間認知の強化
     → パズル・ブロック遊び、図形模写、空間認識ワークなどで土台を作る。
  2. サッケード&フィクセーショントレーニング
     → ナンバータッチや視線ジャンプ練習で、視点移動の精度を上げる。
  3. マス目・ライン補助の工夫
     → ノートに書く際に「色つきライン」「ガイドマス」を使い、視覚的な目印をつける。
  4. 眼と手の協応を高める練習
     → ストロー通し、ビーズ通し、迷路遊び、線つなぎなど。
  5. 注意の維持・切り替えの支援
     → タイマーを使った短時間集中課題、視覚的指示の提示など。

✏️まとめ

「字が重なる」子どもには、単なる不器用さではなく、視空間や視線の安定性、眼と手の協調、注意機能など、多面的な背景が隠れていることが多いです。
ビジョントレーニングは、そうした土台の「見る力」を支えるアプローチとして有効です。個々の特性に応じて、適切な評価と支援を行うことが大切です。

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